2024年04月25日

お心主義実践日記 「Uさんの挑戦」

 Uさんと出会ったのは3年前に私が明星学園に就職し、虹組に配属になった時でした。3年前のUさんは自分の部屋の入口に静かに一人で立っていることが多く、職員の出勤や退勤の際には「おはよー」「あしたくるー?」「ばいばーい」と笑顔で声をかけてくれるのが印象的でした。小さい頃から明星学園で過ごしてきたUさんは、昔から「みんなと一緒に」いわゆる「いい子」に過ごしてきたのだそうです。今思えばずっと部屋の入口にいたのは、「部屋でいい子に過ごさなきゃ」「(みんなの様子を見て)みんなと同じように過ごさなきゃ」という思いからだったのかもしれません。Uさんは何を考えて1日を過ごしているのかな?とよく思ったのを覚えています。




 そんなUさんですが、虹組の他のメンバーさんたちが大きな発信をしてくれて、「みんな一緒」ではなく、それぞれの個別化が進む中で、Uさん自身も少しずつ気持ちを出してくれるようになりました。

 2年前に始まったのが職員や他のメンバーさんへの「つねり」。Uさんにはそれまで見られなかった行動で、なぜつねるのか、どんな思いなのか知るために試行錯誤する中で、母の日の相談を忘れてしまった職員への怒りや、Uさん自身60歳になり以前よりも体が動かしにくくなってきた中で排泄や入浴をお手伝いしてほしいこと、みんなと一緒ではなくUさんの過ごし方を応援してほしいことなどが分かりました。
そのような支援の中で、徐々につねりは減っていきましたが、職員と手を繋いで離れられず、他のメンバーさんの対応のために職員が手を離させてもらうと、近くにいるメンバーさんをつねる行動がみられるようになりました。手を離してもUさんのことをちゃんと見ていること、Uさんのことが大好きな事、職員と一緒にいなくても一人で好きなようにのんびりしていても誰も怒らない事など、ポジティブな声掛けや支持的な支援の中で少しずつ職員から離れる時間もあるようになりました。

 そして、1年前から私はUさんの担任をさせていただくことになりました。昨年も「つねり」「ふらつき」「汗」などの発信を通して、長年我慢して頑張ってきたちり紙折りの作業をやめること、帰省はしないこと、お風呂はやめて清拭すること、食事介助をしてほしいことなど、「みんなと一緒」ではなく、Uさんらしい生活を送る事を教えてくれました。しかし、幼いころからみんなと一緒でなくてはと頑張ってきたUさんにとっては大きな決断で、Uさんの中で本当にこれで良いのかと迷いもあったのか、その決断のあとからUさんは食事が飲み込めなくなってしまいました。Uさんが決めたことが正しいことを伝え、ご家族や亡くなられた父母(お墓参りやお仏壇にお手紙を読む)、虹組の仲間・職員からの承認や応援の中で徐々に食事が食べられるようになりました。



 食事が食べられるようになって一安心していたところ、今年の1月半ばころから再び食事が飲み込めなくなってしましました。年度末が近づく中で、担任との手紙のやり取りや、Uさんが教えてくれた大切な事はこれからも変わらない事を伝えるなど、年度末の支援を行っていましたが、2月に肺炎で入院となり、今も食事は飲み込めず、点滴で栄養を摂っています。
 Uさんは今病院で何を考えているのでしょうか。3年前に出会った頃よりもUさんのことを知ることができたように思いますが、まだまだ分からないことだらけです。もっとUさんのことを理解できていたら、自分が担任じゃなかったら、違った結果だったのではないかと思う部分もあります。それでも、長年「みんなと一緒」に過ごしてきたUさんが自分らしく過ごすためにたくさんのことを教えてくれて、大きな決断ができたのは本当にすごいことだと思うし、その応援ができて良かったと思っています。Uさんの挑戦がこれからのUさんらしい幸せな生活に繋がるように、一緒に考えていけたらと思います。 
虹組 廣瀬




Posted by 明星学園 at 16:56 お心主義エピソード

2024年04月23日

春の訪れ ~新しい人間関係と~

 春の訪れを感じられるようになり、いつもなら居室ですることも、少し外に出て楽しんだり、屋外でできることを一緒にしたりと、季節を感じながらの生活がみられるようになってきました。


 学園の近くの桜満開の中、散歩です。いいお天気ですね。



 将棋が趣味のメンバーさんも暖かい日差しの下で指しています。



 新しい担任とメンバーさんの大事な係わりもしました。キャッチボールをして「よろしくね」と心を通わせています。他の職員も一緒に楽しんでいます。
 

 新しい年度になり新しい職員や新しい担任となど、人間関係も変化しています。変わらないお付き合い、新しいお付き合いを大切にしていきたいと思います。 
虹組 伊藤




Posted by 明星学園 at 08:43 トピックス

2024年04月22日

お心主義実践日記 「頑張らなくていいよ!」

 何年も戸や壁を叩くことが多く見られたHさんでしたが、「頑張らばらなくていいよ」と「苦手なことは頑張ってやらなくてもいいよ」「嫌いなものは食べなくてもいいよ」という支援を一昨年から提供しています。

 新年度担任が変わり、戸や壁を叩くことが増え、いろいろ相談もしましたが、様子は変わらず園長に相談しました。令和5年度、作業を止める・お墓参りを止める(怒られそうで嫌)・仏壇も居室に置かなくていいよ(支援室で預かる)・辛い物は食べない・ビールでは無く、ココア・カルピスを飲む等したことを、お父さん・お母さんに報告(お参り)していませんでした。
 その止めたことをお父さん・お母さんに報告し「止めても怒られない」を感じたほうが良いというSVを貰い、どのように報告していくか相談し二週間に一回お参りすることに決め、職員が代理でお参りすることに決めました。
 お参りを始める前は戸・壁を叩くことがありましたが、お参りを始めるとだんだん叩くことが減りました。合言葉は「怒られなかったでしょ?」。Hさんに聞くと「はい」と言っており、初めは仏壇にお参りすることもできなかったのが、一緒に支援室にきてお参りすることができるようになりました。

 令和5年度末が近づき、また、戸や壁を叩くことが増え、頑張りモードが増えていますが、担任が変わっても「頑張らなくていいよ」は継続してもらうことを新担任からも話をしてもらい、「頑張らなくていいよ」という話もしてもらっています。令和6年度も、これからも頑張らずのんびり過ごせるHさんを応援していきたいと思います。




雪組 小笠原清美




Posted by 明星学園 at 16:52 お心主義エピソード

2024年04月17日

グループホーム横丁 No40

今回のグループホーム横丁は、こいのぼりのお話です。

↓↓クリックする拡大します。↓↓







Posted by 明星学園 at 13:49 明星会GH横丁

2024年04月17日

お心主義実践日記 「希望のバトン」

 Kさんと出逢ってから十数年が経ちますが、今年度初めてKさんの担任になりました。
 Kさんは思っている事を伝える事が苦手です。たくさん発信してくれるのですが、こちらの理解が追い付かずKさんの心の中は分かってあげられない事ばかりです。
 そんなKさんの発信の1つに決まったズボンしか履けない事がありました。入浴後は洗濯が終わるまで下着姿で待っているほどです。なぜ、そのズボンしか履かないのか‥?履き心地は良い?好きな職員と買った?お気に入り?いろいろ考えましたが答えは見つからず。そこで今年度はKさんに似合うズボンを担任が選んでみる事を試みました。「絶対似合うよ!かっこいい!」事を沢山伝えますが、なかなか履いてくれませんでした。 職員みんなで応援し、思いは通じたのかな?3本目を買った数ヶ月後には履いてくれるようになったのです。すると1ヶ月後の12月担任と2人でクリスマス会をしたい、担任にクリスマスプレゼントを渡したい事を教えてくれました。



 手袋がプレゼント。しかも私の好きなピンク色でした。そして、年明けは「今年もよろしく」の意味を込めてハンカチをお年玉として渡してくれました。これもピンク!Kさんは、私が喜ぶ色を選んでくれました。




 旅行も2人で行きたい事も教えてくれました。足湯に入ったりハーバリウムを作ったり。




 でも、1歩1歩距離間が近付く度に、1つ1つKさんの心の中の何かが壊れていくような、1つ1つ課題行動が増えて行きました。私も、どうしていいか分からず1歩1歩Kさんから離れてしまうようになり、距離も遠くなっていきました。今までの成育歴から「近付くと離れてしまう」を思い知らされてきたKさんにとって、距離が近付く事は不安な気持ちが大きくなり課題行動も派手な行動となっていきました。今年1年「プレゼントしたい」「2人で旅行に行きたい」と勇気を出して伝えてくれた事はKさんの勝負だったのかもしれません。来年度は担任が変わります。発表後も、居室の戸を外したり、暖房パネルをひたすら蹴ったり大きな発信が続いています。過去の成育歴と重なり「近付くと離れてしまう」結果となってしまい、怒りの表情も混ざっているように理解しています。しかし、今まで居室で1人でDVDを観ていたり1人ぼっちで過ごす事が多かったKさんでしたが、近付きたい気持ちを伝えてくれた後から居室を出て職員に必死に伝えようとしてくれる姿はKさんの大きな変化だったと思います。来年度の担任へ、今年の経験を踏み台にして‥。   
宙組  木村




Posted by 明星学園 at 13:38 お心主義エピソード

2024年04月17日

空から見守っていてね

 Kさんにとってお墓参りはとても大切な行事の一つです。毎年9月と3月の年に2回必ず両親のお墓参りに行っています。
 Kさんの両親のお墓は高台のとても良い場所にあります。しかし、年を重ね長時間歩くことが大変になってきているKさんが坂を登り墓前まで行くのは一苦労です。それでもお墓参りの時はしっかりとした足取りで墓前まで歩きます。
 両親のお墓に着くとお花を供え、用意してきた手紙を読んで手を合わせます。しっかりと手を合わせているKさん、両親と沢山のお話をしているのだと思います。普段は自分のお部屋にある仏壇に手を合わせていますが、いつもよりも近くに感じられて積もる話もしているのかな?と感じています。



 Kさんが行くお墓参りは、遠方に暮らしており普段は中々会うことが出来ない後見人の方との面会の場にもなっており、ゆっくりお話が出来る大切な時間です。



 そんな大切な人達と会える時間を過ごしとっても良い笑顔のKさんです。



 私は今までお墓参りはそんなに大切な時間と考えていませんでした。しかし、この様な
 Kさんの姿を見た今、お墓参りは亡くなった方とゆっくりお話が出来る、そんな大切な時間なのだなと感じるようになりました。
 Kさんにとって大切な時間をこれからも守っていけるよう、支え続けていきたいと思います。
宙組 平沢明日菜




Posted by 明星学園 at 13:27 トピックス

2024年04月04日

「特別な日はちょっと豪華な食事を」

 Nさんは今年度何度か入院し、そのたび嚥下機能が低下、現在ペースト食やゼリー状の食品をメインに食べています。
 1月の誕生日には、「あいーと」の食材を注文。この商品のすごいところは、見た目はそのまま形があるのに、簡単に崩れるんです。ペースト食やミキサー食はドロドロで何を食べているか見た目では判断しにくいですが、あいーとのおかずは、目美味しく、食べてもおいしい、おかずです。Nさんは外出や行事の時に注文し、普段と違ったご飯を楽しみにしています。



 誕生日と言えばケーキ。STさんとも相談しながら、アイスのケーキでお祝いしました!
 甘いものが大好きなNさん。あっという間に食べてしまいました!



 その翌月は、クラス旅行があり、今度はうな重を!これまた、見た目は形のあるうな重ですが、すぐに崩せて安心、安全に食べられます。



 ぺろりと食べ、笑顔でした。毎日の食事でも好きな物を取り入れて、楽しみを持てるように相談していきたいと思います。



宙組 伊井




Posted by 明星学園 at 11:44 トピックス

2024年04月03日

令和6年度 第一回栄養士手作りおやつ マーブルチョコレートケーキ♡

 皆さんこんにちは、新年度が始まりましたね。
 さて新年度の栄養士手作りおやつは「マーブルチョコレートケーキ」です。
 急に陽気が春めいて、桜は咲くし花粉は飛ぶし、くしゃみをしながらのケーキ作りです。
 2回目のケーキデコレーションは、相変わらず素人のできばえ。。笑 (いえ、家庭的というのです。)
 とてもかわいらしいケーキに仕上がりました。



オレンジマーマレードをベースにします。



その上にハーシーズのチョコレートソースをたっぷりと♡



生クリームをたっぷりと塗り、その上にマーブルチョコレートでデコレーション●
ココアパウダーをアバウトにかけます。

マーブルチョコがかわいらしいですね




 ※今回は月組の配膳室を使用してケーキ作りをしました。


 雪組の様子





 宙組の様子



 わくわくの様子


 皆さん大きなお口でパクリ!!



 
←マーブルチョコを乗せた 
  ショートケーキ







 皆さんにこやかに大きな口でパクリと食べてくれました。「オレンジマーマレードの酸味がチョコレートにマッチしていて甘酸っぱくておいしかった」とか「マーブルチョコがかわいらしかった」という声もいただきました。また、キザミ食の方もケーキは喜んで食べてもらえるという声もいただき、作り甲斐を感じたおやつ作りでした。
 また来月もケーキにしようかなぁ。。と考えたりしています。 (笑)
                               
栄養士  平田




Posted by 明星学園 at 17:50 給食メニュー紹介

2024年03月29日

気持ちに寄り添うお付き合い ~職員にできる事とは~ 

 令和5年度8月からHさんの担任になりました。Hさんはお母さんが大好きで、お母さんが特別養護老人ホームに入ることになってから、とても心配していました。お母さんはショートステイをしている間は家に帰ってくるけど、レタス農業が終わるまでは特養にいるんだよと言っても、Hさんは納得できなくて、フロアを歩き回っていました。私たちはHさんに特養のことを説明しました。特養は病院じゃなくて、お母さんが好きなことをしたり、ご飯を食べたり、お風呂に入ったりする場所だよと言いました。お母さんもHさんみたいに幸せになれる場所だよと言いました。何回も話して、掲示も作って、職員みんなで伝えるようにしました。そうしたら、Hさんのパタパタは少し落ち着きました。
 でも、Hさんはお母さんに会いたくて仕方がなかったんです。母の日には写真立てを選んでプレゼントしようとしましたが、手紙を書こうとすると体が動かなくなりました。お母さんに伝えたいことがあるのかな?と聞いても答えませんでした。手紙を書くことを強く拒否しました。その後も何度も話しかけましたが、手紙は書けませんでした。失尿もひどくなりましたし、水分もあまり摂らなくなりました。お母さんに会えるかどうか確認しようと思ったら、会うのは難しいと言われました。Hさんは会いたいのに会えないんです。私たち職員もどうすればいいかわからなくなりました。
 そんな時、Hさんのお父さんやお兄さんや妹が面会に来てくれました。お母さんの様子を聞きましたが、やっぱり面会は難しいと言われました。Hさんにも伝えましたが、納得できませんでした。お母さんに手紙を書いたらどうかな?と提案しましたが、やっぱり手が動かなかったんです。でも、私たちは諦めませんでした。お母さんとの思い出を振り返りながら、「ありがとう」と「大好き」の気持ちを書こうよと励ましました。すると、Hさんは少しずつ手紙を書き始めました。
 「お母さん、僕は今日も元気だよ。」
 「お母さん、僕と昔一緒に遠足にいったこと覚えてる?すごく楽しかったね。」
 「お母さん、僕はお母さんの作ってくれた漬物が大好きだよ。」
 「お母さん、僕はお母さんの笑顔が大好きだよ。」
 「お母さん、ありがとう。」
 「お母さん、大好きだよ。」
 こんな気持ちが溢れた手紙を書きました。手紙を送ってからは失尿も減りましたし、水分もしっかり摂るようになりました。Hさんはお母さんに会いたい気持ちを大切にしながら、「ありがとう」と「大好き」の気持ちを伝えることで、少し安心できるようになりました。
 今回のことで、私はHさんの気持ちを理解することが大切だと思いました。Hさんはお母さんが特養にいることに混乱していたし、家族にも教えてもらえなかったし、手紙を書くことも怖かったんです。でも、私たちはHさんの気持ちに寄り添って、特養のことを説明したり、お母さんとの思い出を振り返ったり、手紙に感謝や愛情を書いたりしました。そうすることで、Hさんはお母さんとのつながりを感じることができました。私もHさんの笑顔が見られて嬉しかったです。これからもHさんの大事なお母さんのことを忘れずに、笑顔あふれる支援をしたいと思います。





月組 宮澤




Posted by 明星学園 at 11:01 トピックス

2024年03月29日

連載 マイブーム ~幸せのために~


 僕の最近のマイブームは貯金とお金の勉強をすることです。お金の話しは嫌がる人も多いかと思いますが、生きていくにはとても重要なことだと思っています。何年も前から自分のお金の使い方を見直したいと思っていたのですが、タイミングが合わずにいました。
 そして、現在、学園での仕事や飯田の生活にも慣れてきたある日。たまたま市で運営するお金に関するセミナーがあると聞き、参加しました。
 内容としては「自分がもらっている給料のなかでやりくりする」「今、どうしても必要な物なのか」ということを考えて買い物をすること。話しを聞いていて当たり前のことではありましたが、実行できていなかったので、考えを改める事ができ、買い物をする際は今必要なものなのかそうではないのか。と考えながら買い物しようと意識するようになりました。


 それと同時に、少額でいいからと、貯金も始めました。話しは少しそれますが、お恥ずかしながら婚活をしています。近年、結婚願望がない方が多くいますが、僕はむしろ結婚願望が強くあります。もし、良いご縁があり、家庭を持つとなれば家族を養う必要があります。生活するにはどうしても必要なスキルだと思いお金の勉強と貯金を始めました。貯金は活動費になると思います。
 それと、自分が欲しいと思っている家族を乗せられる車と、趣味でバイクが欲しいです。
 次のセミナーの予定は今のところまだないようですが、積極的に参加する気持ちでいます。また、時間ができた時に独学ではありますが、YouTube等で勉強しようと思っています。良いご縁がありますように。

虹組 小沢 宜隆




Posted by 明星学園 at 09:22 連載 マイブーム