2023年08月03日

言葉にならない気持ちを知る ~抱っこ法~

 7月28日に第二回療育研究会が開催され、今回は抱っこ法が行われました。ここ数年のコロナ禍で、対面での研修会が実施出来ない中、メンバーさんに触れる事で、気持ちを知る事ができる抱っこ法は対面での実施です。それでも、学園内のみでの実施が続いていましたが、コロナも5類になった事もあり、今回は外部の方々の参加もあり、同じ時間を共有できる事を嬉しく思いながらのスタートです!
 今回は月組のOさんの抱っこ法です。ここ数年で大切で大好きだった仲間が亡くなり、心を閉ざしてしまったかのように、居室での生活が中心になってしまったOさん。「悲しいよね」「淋しいよね」と気持ちに共感したり、手紙を書いて祭壇で一緒に読んだり…。それでもOさんは居室からなかなか出て来てくれませんでした。
 「悲しい」「淋しい」という気持ちを上手に出せないOさん。話をしていくといつも「怒り」に変わってしまい、職員もどこまでOさんの気持ちに踏み込んでいいのか分からずの状況が続いた中での今回の抱っこ法。
 まず、最初に身体のお付き合いからスタートです。緊張度も高いOさん。きっと身体は緊張で強張っているだろうな…と感じていましたが、驚くほどすぐ講師の先生、職員へ身体を預けてくれました。この場で自分の気持ちを皆に伝えるぞ!と心が決まっている事が伝わってきました。Oさんと関わるようになって数年。こんなに身体を預けてもらうお付き合いが無かった分、今、心を許してくれているんだなと感じ、こちらも「Oさんの気持ちを知りたい」という思いが強くなりました。「心が繋がった」そんな言葉がしっくりくる時間でした。
 しばらく身体のお付き合いが進んでいく中で、次に筆談。Oさんの気持ちがどんどん出てきました。「何から伝えていいか分からない」「悲しい」そんな気持ちからスタートした筆談。大切な仲間が亡くなったのに、生きている自分は何をしているのかという混乱する気持ち。そんな気持ちが溢れてきた後に出てきた「悲しみといる事に疲れたよ」「ここから出して」「助けて」そんなOさんの心の叫びを知った時には、涙が出そうでした。

言葉にならない気持ちを知る ~抱っこ法~言葉にならない気持ちを知る ~抱っこ法~

 そして1番心に残ったのは「大きな悲しみがまた来るとしても、僕は人を愛そうと思う。淋しさに負けないくらい。その人とその時を大事にしたい」という言葉でした。大切な人との毎日を大事にする事がどれだけ大切な事なのか。そんな事をOさんに改めて教えてもらった気がします。
 あっという間の研修会。たくさんの想いを知る事ができて、お互いの気持ちを共有できた素敵な時間になったと思います。Oさんが職員と一緒に悲しみから抜け出せるように、これからの時間を大切にしていきたいなと感じます。

言葉にならない気持ちを知る ~抱っこ法~言葉にならない気持ちを知る ~抱っこ法~

月組 小椋香



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Posted by 明星学園 at 11:04 │研修・研究会